出汁を巡る冒険・その3
2009年8月7日 連載 台風の野郎がうちの厨房に篭城してもう三日目だ。
きっかけは些細な事だった。
仕事の都合で毎年夏の間だけの常連の台風はその日、天候不順と云う事もあり、荒れに荒れた競馬の結果が思わしくなかったらしく来店したときから機嫌が悪かったのか、いつもより風が強かった。
その内、強風を通り越して暴風になり、流石にこれは拙いと云う事で、
「すいません、他のお客さんもいらっしゃるので風は遠慮してもらえますか?」
と云ったのだが、タイミングが悪かったのだろう、
「じゃあ何か、熱帯低気圧にでもなれってのか、俺は台風だぞ」
漫画でも見るかのようにみるみる内にこめかみに青筋を浮かせて、厨房に乗り込んでそのまま篭城してしまった次第である。
警察まで出動する事態になり、母親が先程から涙ながらに説得している。
店の被害は兎も角として、この調子だと常連達がキープしてある出汁は全滅だろうな、と思うと何故か申し訳ない気持ちになる。
以下次回。
きっかけは些細な事だった。
仕事の都合で毎年夏の間だけの常連の台風はその日、天候不順と云う事もあり、荒れに荒れた競馬の結果が思わしくなかったらしく来店したときから機嫌が悪かったのか、いつもより風が強かった。
その内、強風を通り越して暴風になり、流石にこれは拙いと云う事で、
「すいません、他のお客さんもいらっしゃるので風は遠慮してもらえますか?」
と云ったのだが、タイミングが悪かったのだろう、
「じゃあ何か、熱帯低気圧にでもなれってのか、俺は台風だぞ」
漫画でも見るかのようにみるみる内にこめかみに青筋を浮かせて、厨房に乗り込んでそのまま篭城してしまった次第である。
警察まで出動する事態になり、母親が先程から涙ながらに説得している。
店の被害は兎も角として、この調子だと常連達がキープしてある出汁は全滅だろうな、と思うと何故か申し訳ない気持ちになる。
以下次回。
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