出汁を巡る冒険・その8
2009年8月10日 連載 コメント (1) それから更に、数年の歳月が流れた大晦日の夜の事である。
チャルメラ亭には、同じ町内の商店会のメンバーで、サヴァイヴァル・ゲーム同然の付き合いをしている仲間達が、それぞれの店じまいを終え、集まってきていた。
年越し蕎麦を喰べた後、除夜の鐘を聞きながら、仲間とその家族が揃って近くの神社で殺戮の限りを尽くすのが、5、6年前からの恒例になっていた。
この夜も、9時半過ぎにフィギュア屋の夫婦が出汁を盛り合わせた大皿を両手に持って入ってきたのが合図だったかのように、いつもの仲間3万人余りが、出汁や出汁や出汁を手に次々と集まり、店内の雰囲気は盛り上がっていた。
1杯の生中の話を知っている仲間の事である。口にはしないが、恐らく、今年も空いたままであろう「大晦日10時過ぎの674番テーブル」をそっとしたまま、14、5人も入れば窮屈な店内に、更に全員が少しずつ体をずらして、遅れてきた仲間を招き入れた。
出汁を飲むもの、見学するもの、カウンタの中に入り売上金に手を付けるもの、勝手に冷蔵庫を開け、何やらアイデアを取り出しているものもいる。
《マリーシの双子爪/Marisi’s Twinclaws》で検索をかけてくるものが未だに多い話、リヴァイズドのパックから《終末の時計/Armageddon Clock》と基本地形6枚が出たエピソード、新しい地雷が生まれた話等、賑やかさが頂点に達し果てようとしていた。
その時、入り口の戸がガラガラと開いた。女将が申し訳なさそうな顔で、
「生憎満席なものですから」
と断ろうとした時、3人の母子が深々と頭を下げた。
「あの・・・大ジョッキ・・・3杯なのですが・・・宜しいでしょうか」
女将の顔色が変わる。数年の歳月を瞬時に押しのけ、あの日の母子の姿が、目の前の3人と重なる。
「あ、あの・・・おっ、お前さん!」
おろおろしている女将に、息子の大きな方が云った。
「拙者共は、以前、大晦日の夜、母子3人で1杯の生中を注文した者である。あの時の1杯の生中に励まされ、3人手を取り合って生き抜く事が出来た由。その後、母の実家が在る《トレイリア西部/Tolaria West》へ変成したのでござるが、人生語っても面倒くさい故、《中略/Syncopate》する次第であるが、今までの人生の中で最高の贅沢を計画したのである」
そこまで云うと、常連客の出汁を勝手に飲んで、
「・・・それは大晦日に3人で西ドイツのチャルメラ亭さんを尋ね、3人前の大ジョッキを頼む事なり」
頷きながら聞いてた女将と主人の目からドッと出汁が溢れ出た。
「ああ、拙者と弟はまだ10代であるが何か?」
気がつくと、店中の皆が思わず涙を流していた。
寒風吹き荒ぶ大晦日、何はともあれ3人を叩き出して、新しい1年を待つチャルメラ亭であった。
以下次回。
●昨日のけんつよ話
ミリー杯に参加しました。
デッキはマーフォークタッチ《猫族の戦士ミリー/Mirri, Cat Warrior》。
残念ながら《猫族の戦士ミリー/Mirri, Cat Warrior》で勝つ事は出来ませんでしたが、無事戦場に出し、戦闘ダメージを与えるのには成功したので満足です。
が、別のゲームで《猫族の戦士ミリー/Mirri, Cat Warrior》への《剣を鍬に/Swords to Plowshares》を巡るカウンタ合戦に敗れたのは悔しいかも。
まだまだ課題が残りますね。
その後、6人ドラフト。初手《隠れ潜む捕食者/Lurking Predators》から重めの緑黒。
2勝1敗でしたが、オポ差でピックはトップだったので、4枚目の《悪斬の天使/Baneslayer Angel》ゲット。良かった良かった。
後で暇だったら詳しくレシピを書くかも。
ああ、あと、MTGの日記なのでMTG分を増量してみました。
・・・無理がある。
チャルメラ亭には、同じ町内の商店会のメンバーで、サヴァイヴァル・ゲーム同然の付き合いをしている仲間達が、それぞれの店じまいを終え、集まってきていた。
年越し蕎麦を喰べた後、除夜の鐘を聞きながら、仲間とその家族が揃って近くの神社で殺戮の限りを尽くすのが、5、6年前からの恒例になっていた。
この夜も、9時半過ぎにフィギュア屋の夫婦が出汁を盛り合わせた大皿を両手に持って入ってきたのが合図だったかのように、いつもの仲間3万人余りが、出汁や出汁や出汁を手に次々と集まり、店内の雰囲気は盛り上がっていた。
1杯の生中の話を知っている仲間の事である。口にはしないが、恐らく、今年も空いたままであろう「大晦日10時過ぎの674番テーブル」をそっとしたまま、14、5人も入れば窮屈な店内に、更に全員が少しずつ体をずらして、遅れてきた仲間を招き入れた。
出汁を飲むもの、見学するもの、カウンタの中に入り売上金に手を付けるもの、勝手に冷蔵庫を開け、何やらアイデアを取り出しているものもいる。
《マリーシの双子爪/Marisi’s Twinclaws》で検索をかけてくるものが未だに多い話、リヴァイズドのパックから《終末の時計/Armageddon Clock》と基本地形6枚が出たエピソード、新しい地雷が生まれた話等、賑やかさが頂点に達し果てようとしていた。
その時、入り口の戸がガラガラと開いた。女将が申し訳なさそうな顔で、
「生憎満席なものですから」
と断ろうとした時、3人の母子が深々と頭を下げた。
「あの・・・大ジョッキ・・・3杯なのですが・・・宜しいでしょうか」
女将の顔色が変わる。数年の歳月を瞬時に押しのけ、あの日の母子の姿が、目の前の3人と重なる。
「あ、あの・・・おっ、お前さん!」
おろおろしている女将に、息子の大きな方が云った。
「拙者共は、以前、大晦日の夜、母子3人で1杯の生中を注文した者である。あの時の1杯の生中に励まされ、3人手を取り合って生き抜く事が出来た由。その後、母の実家が在る《トレイリア西部/Tolaria West》へ変成したのでござるが、人生語っても面倒くさい故、《中略/Syncopate》する次第であるが、今までの人生の中で最高の贅沢を計画したのである」
そこまで云うと、常連客の出汁を勝手に飲んで、
「・・・それは大晦日に3人で西ドイツのチャルメラ亭さんを尋ね、3人前の大ジョッキを頼む事なり」
頷きながら聞いてた女将と主人の目からドッと出汁が溢れ出た。
「ああ、拙者と弟はまだ10代であるが何か?」
気がつくと、店中の皆が思わず涙を流していた。
寒風吹き荒ぶ大晦日、何はともあれ3人を叩き出して、新しい1年を待つチャルメラ亭であった。
以下次回。
●昨日のけんつよ話
ミリー杯に参加しました。
デッキはマーフォークタッチ《猫族の戦士ミリー/Mirri, Cat Warrior》。
残念ながら《猫族の戦士ミリー/Mirri, Cat Warrior》で勝つ事は出来ませんでしたが、無事戦場に出し、戦闘ダメージを与えるのには成功したので満足です。
が、別のゲームで《猫族の戦士ミリー/Mirri, Cat Warrior》への《剣を鍬に/Swords to Plowshares》を巡るカウンタ合戦に敗れたのは悔しいかも。
まだまだ課題が残りますね。
その後、6人ドラフト。初手《隠れ潜む捕食者/Lurking Predators》から重めの緑黒。
2勝1敗でしたが、オポ差でピックはトップだったので、4枚目の《悪斬の天使/Baneslayer Angel》ゲット。良かった良かった。
後で暇だったら詳しくレシピを書くかも。
ああ、あと、MTGの日記なのでMTG分を増量してみました。
・・・無理がある。
コメント
まさにライトノヴェルという感じの連載を毎日楽しみにしております。